アダプテーションFIREの実践…稼働率60%、80%、100%、そして0%

前回の記事で、私は「アダプテーションFIRE」という考え方を書きました。
FIREというと、一般的には「働くことから少しずつ離れていく」というイメージがあるかもしれません。
フルタイムで働きながら資産を積み上げ、やがて労働時間を減らしていく。
いきなり仕事を辞めるのではなく、少しずつ仕事の比重を下げていく「グラデーションFIRE」という考え方もあります。
100%だった労働を80%にする。
80%を60%にする。
そして、60%を40%にする。
必ずしも最後に0%を目指す必要はありませんが、基本的には「労働への依存度を徐々に下げていく」という方向性が強い考え方です。
私は、この考え方にはとても共感しています。
0か100かではなく、その途中にたくさんの選択肢があるからです。
ただ、私自身の働き方を振り返ってみると、少し違うことに気づきました。
私の稼働率は、きれいには下がっていないのです。
60%になることもあれば、80%になることもあります。
一時的に100%になることもあります。
そして、0%になることもあります。
下がったあとに、また上がることもあります。
今回は、アダプテーションFIREの実践例として、そんな私自身の働き方を書いてみたいと思います。
基本は週3日、稼働率60%
私は現在、業務改革・DXコンサルタントとして働いています。
会社員ではなく、自分の法人を通じて業務委託契約を結び、プロジェクトに参加する形です。
現在の基本となっているのは、稼働率60%程度の契約です。
週5日のうち、3日働くイメージです。
月曜日から水曜日まで働いて、木曜日と金曜日を休むこともあります。
一方で、月・水・金という飛び石になることもあります。
一般的には、飛び石勤務はあまり好まれないかもしれません。
どうせ週3日働くのであれば、月・火・水とまとめて働き、木・金・土・日と4日間まとめて休んだほうがいい。
確かに、それも一つの考え方です。
ただ、私の場合は少し違います。
月曜日に働いたら、火曜日は休み。
水曜日に働いたら、木曜日は休み。
そして金曜日にもう1日働けば、週末です。
つまり「1日働いたら、1日休める」というリズムになります。
私は長くうつ病と付き合いながら仕事をしています。
そのため、一般的には効率が悪く見える飛び石勤務が、私の体調にとってはむしろ都合がいいことがあります。
仕事に自分を合わせるのではなく、自分の状態に仕事の配置を合わせる。
これも、私にとってのアダプテーション(適応)です。
お金が必要なら、稼働率を上げる
もちろん、いつも60%で働いているわけではありません。
お金が必要な時期もあります。
法人の資金を厚くしたいときもありますし、大きな支出が重なることもあります。
そんなときには、稼働率80%程度の業務委託契約を選ぶこともあります。
週3日ではなく、週4日働く。
当然、自由時間は減ります。
体への負担も増えます。
それでも「生活が苦しいので、今は少し稼いでおこう」と判断すれば、私は労働を増やします。
ここが、私の考えるアダプテーションFIREの特徴です。
私は、労働を減らし続けることそのものを目的にしているわけではありません。
必要なら増やします。
必要がなくなれば、また減らします。
一度60%まで下げたからといって、もう80%には戻らない、と決める必要もありません。
環境が変われば、自分の働き方も変えればいい。
そう考えています。
ときには稼働率100%になる
さらに面白いのが、契約と契約の境目です。
業務委託で働いていると、会社員のように一つの仕事がずっと続くとは限りません。
あるプロジェクトが終わり、次のプロジェクトが始まります。
しかし、その日程がきれいにつながるとは限りません。
仕事が途切れないように次の契約を少し早めに始めれば、前の契約と重なることがあります。
たとえば、
60%+40%=100%
という時期が一時的に発生することもあります。
その期間だけを見れば、FIREどころか普通のフルタイム勤務と変わりません。
場合によっては、それ以上に忙しく感じることもあります。
しかし、それが永遠に続くわけではありません。
二つの契約が重なっていた期間が終われば、また60%に戻る。
逆に、前の契約が終わってから次の契約が始まるまで間が空けば、
0%
になることもあります。
0%になったからといって、完全FIREしたわけでもありません。
次の契約が始まれば、また40%や60%に戻ります。
私の働き方は、この繰り返しです。
グラデーションFIREとの違い
ここで、グラデーションFIREとの違いが見えてきます。
もちろん、グラデーションFIREにもさまざまな形があります。
必ずしも全員が同じ道をたどるわけではありません。
ただ、その言葉が表しているように、フルタイム労働から少しずつ距離を取り、段階的に労働への依存度を下げていくイメージがあります。
単純化すれば、
100% → 80% → 60% → 40% → 20%
という方向です。
数学的に表現するなら、労働への依存度を緩やかに下げていく「単調減少」に近いイメージです。
一方、私のアダプテーションFIREは違います。
60% → 80% → 100% → 60% → 0% → 80%……
こんな動きになります。
グラフにすれば、かなりデコボコになるでしょう。
一度下げた稼働率を、また上げる。
100%働いたあとに、60%へ落とす。
契約の谷間で0%になり、しばらくすると再び80%になる。
方向が決まっていないのです。
だから私は、「グラデーション」ではなく「アダプテーション」という言葉を使っています。
目標に向かって少しずつ労働を減らすのではなく、そのときの環境に自分の働き方を適応させていく。
どちらが優れているという話ではありません。
自由へのアプローチが少し違うのです。
少しわかりにくいかもしれないので、イメージにしてみました。
単調増加でも、単調減少でもない
一般的な会社員のキャリアは、どちらかというと単調増加を求めます。
・年収を上げる
・役職を上げる
・責任を増やす
・仕事の規模を大きくする
・昨日より今日
・今年より来年
少しずつ上へ進んでいくことが、キャリアの成功として語られます。
一方、FIREやセミリタイアでは、労働への依存を徐々に減らしていく方向が意識されます。
こちらは労働という観点では、単調減少に近くなります。
しかし、私が目指しているのは、そのどちらでもありません。
・上げてもいい
・下げてもいい
・止まってもいい
・また動き出してもいい
大切なのは、特定の方向へ進み続けることではありません。
どちらの方向にも動けることです。
アダプテーションFIREは、働かなくなることではありません。
働く量を、自分で動かせるようになることです。
それでも年単位では積み上げていく
もちろん、自由に上げ下げするだけでは生活は成り立ちません。
私が見ているのは、1週間や1か月だけではなく、もう少し長い時間軸です。
ある月は100%働く。
ある月は60%に落とす。
契約の切れ目なら0%になる。
必要なら再び80%に戻す。
短期的には、かなり凸凹しています。
しかし、年単位で見れば、仕事をしながら売上を積み上げていく。
私は、こちらのほうを重視しています。
毎月同じ金額を稼ぐ必要はありません。
毎週同じ日数を働く必要もありません。
人生の状況は変わります。
体調も変わります。
必要なお金も変わります。
それなら、自分の働き方だけを固定する必要もないのではないでしょうか。
短期的な稼働率は上下する。
それでも、長い時間軸では必要な売上を確保し、資産を積み上げていく。
私にとっては、この二つは矛盾しません。
不動産収入という、もう一本の柱
そして、この働き方を支えてくれているものがもう一つあります。
不動産収入です。
私は労働収入だけで生活全体を設計しているわけではありません。
不動産から入ってくる収入もあります。
もちろん、不動産にも空室や修繕、金利などのリスクがあります。
ですから「不動産収入があるから、もう働かなくても大丈夫」という単純な話ではありません。
私にとって重要なのは、労働収入とは性質の異なる収入の柱が存在していることです。
これが精神的な支柱になっています。
今月たくさん働かなければ、すぐにすべてが崩れる。
そういう構造ではない。
だからこそ、体調が悪ければ稼働率を落とすという判断ができます。
逆に、働けるときには稼働率を上げて、労働収入を積み増すこともできます。
労働収入と不動産収入。
性質の違う二つの柱があるからこそ、働き方に可変性を持たせやすくなっています。
不動産収入は、私を労働から完全に解放するためのものではありません。
むしろ、労働との距離を自分で調整するための余白を与えてくれる存在なのだと思います。
自由とは、0%になることではない
FIREの「自由」を、労働時間が0%になることだと定義すれば、私はまだFIREしていません。
実際、普通に働いています。
忙しい時期もあります。
一時的に100%近く働くことさえあります。
それでも、以前とは自由の意味が少し変わりました。
私にとっての自由とは「働かなくてもいい」だけではありません。
・今は働く
・今は減らす
・少し休む
・お金が必要だから増やす
そうした選択を、そのときの環境に応じて自分で行えることです。
0%だけが自由なのではありません。
60%を選べることも自由です。
必要なときに80%へ戻れることも自由です。
場合によっては100%働き、それが終わったらまた60%へ戻す。
そして、0%の期間があっても、それを「仕事がなくなった」と必要以上に恐れず、次に動き出せばいい。
その可変性そのものが、私にとっての自由なのです。
右肩上がりでなくていい。
右肩下がりでなくてもいい。
人生は、そもそも一直線には進みません。
体調も、お金も、仕事も、家族も、環境も変わります。
それなら働き方も、その変化に合わせて動けばいい。
単調増加でも、単調減少でもない。
上がったり、下がったり、ときには止まったりしながら、それでも長い時間軸では少しずつ積み上げていく。
これが、今の私が実践している「アダプテーションFIRE」なのです。

